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起業ストーリー

今回の起業ストーリーは、住宅ライター、ラジオパーソナリティーなどマルチな才能で活躍する、ライターエージェント会社、株式会社ヒューズ・エンタープライズ代表取締役、福岡由美様にお話をお伺いしました。
(インタビュアー:野田葉子 弁護士・なでしコンサル東海理事)

フリーランスの寄り合いの様なものが欲しかった

野田:早速ですが、現在のお仕事の内容をご紹介いただけますか。

福岡:もともとは生命保険会社のOLでしたが、ラジオのレポーターになり、そこからラジオの構成もするようになりました。なので、ラジオの構成作家と住宅ライターの2本立てで仕事をしています。よく、何屋さんですかと聞かれるのですがそんな時は「本業は住宅ライターなんですが、ラジオの方もやっています」と答えています。

そうですね、「言葉でつむぐ仕事」に携わっています。


野田:「言葉でつむぐ・・・」素敵ですね。創業はどのような経緯でしたか。

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福岡:フリーランスになって仕事を始めたのは29歳の時です。その後会社を設立したのが2007年なので、今10年目になります。

フリーランスのライターって、自分ひとりですべての仕事を完結しなくてはならないんですが、ある時母親が脳梗塞で倒れ次の日に手術をしなくてはならないという状況で、どうしても落とせない締め切りがあるからと、当時の私は仕事を選んだんですよね。

幸い母の手術は成功して今も元気にしているのですが、家族のピンチの時に力になれないのは、何のために仕事をしているのかわからないと思ったんですね。こういう時にライターのフリーランスの組合のようなものがあれば、お互い仲間同士で仕事をうまく回していけるのではないかと、起業を決意しました。

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もう一つ理由があって、以前からお世話になっていた社長より、「女社長になりなさい、会社を興しなさい」と言われていたんですね。女性が一人でフリーランスとしてやっていると足元を見られる。一国一城の主になることで、社会に受け入れられ、他の会社との取引もできるようになるからと、自分のステップアップの為にも会社を作れと言われていたんです。それがちょうど母が倒れたときと同時期だったんです。


(写真:赤と白にまとめられた開放感あるヒューズ・エンタープライズ様のオフィス)


雇用を増やすことが大切ではない

野田:会社を設立後、拡大とか人を雇ったりとかはされたのですか。

福岡:しました。当初の自分の考えでは、会社=人を増やさないといけないと思って、最大で15人まで増やしました。もともとフリーランスで集まっているので、社員として取るのではなく契約社員として登録者を増やしていったんです。

ここで失敗したのが、自分の仕事をだれでもできる仕事だと思っていたんですね。ですから、興味を持ってくれた人すべてに声をかけたのですが、半数ぐらいがもたなくてやめちゃったんです。よく考えてみれば締め切りのストレスとか、文章をある程度のクオリティとスピードで書き続けていくというのは一定のスキルが必要だったんですね。

やみくもに組織を大きくしてもダメだったという事にそこで初めて気が付いて、本当にやりたいんですと門をたたいてくれるライターさんだけをメンバーとして、今は少人数体制でやっています。


野田:今は何人ぐらいでお仕事をされているのですか。

福岡:今はコアのメンバーが産休に入っているので、実質3人ぐらいが仕事をしています。でも、一時期に比べればこれが健全な形なんだと思っています。


野田:仕事は福岡さんが営業などで取ってきて、みんなに渡すという感じでやっているのですか。

福岡:そうですね。フリーの時にお世話になっていた会社の方から継続して仕事をいただいていて、私個人が書かせていただいていた時と同じクオリティの原稿を事務所として納品しますと了承を得ていただき、スタッフに分けていくというふうにしています。

ただ、営業とかは特にしていないんです。いけないとは思うんですけどね。

ライターはたくさんいても、住宅の事が書けるライターはあまりいないんですね。加えて取引先も限られているので、そことしっかりとした繋がりを作っていると、そこから口コミで広がっていく。ですから、新規開拓の営業はしていないんです。


意識をすることで、目標に変わった

野田:東京に進出されたきっかけは。

福岡:戦略があったわけではないんですよ。

実は、取材で鳥羽の石神さんに行ったんですね。女性の願いを一つだけ叶えてくれる神様なのですが、その時に願い事を書いてくださいと言われて、思いつくものが無かったんですよね。もともと東京に進出したいなという夢はあったので、何気なく東京への進出を願い事として書いたんです。

そしたら、意識するんですよね。次の行動を起こしていく。意識し始めたら、東京のお仕事が舞い込んで来るようになったんです。たまたま、自分の希望エリアにお安くオフィスも借りられる話が出てきて、会社設立の4年後、東京に事務所を構えました。

きつい時期もありましたが、オフィスを構えてから5年経ち、やっと落ち着いたかなというところです。ようやく「名古屋の人だよね」という感じから「ちゃんと東京でやっている人だね」というふうに見てくれている感じになってきました。


野田:なるほど、きつい時期があったという事でしたがそれはどのような。

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福岡:一時、たたもうかと思っていた時期がありました。プライベートの事でバタバタしていて仕事に身が入らなくて。そうなると仕事に集中していないから不思議と仕事も来ないんですよね。東京の仕事に消極的になっていたら、ぽっかり仕事が空いてしまってもう東京の仕事は辞めろという事なのかと。

そんな時にある方から「あなたが仕事に真剣に向き合っていないから、仕事が来ない。」と言われて、もう一度自分の姿勢を構えなおしたら軌道に乗ったんです。


野田:仕事に真摯に向き合う事で仕事がやってくる。確かにそうですよね。でも、プライベートと仕事を分けるのは難しいのではないですか。

福岡:難しいですね。子育てしながら頑張っている女性社長とかは、子供の心境の変化や体調などにも気を使っているし、家族が増えれば増えるほど仕事に集中できなくて大変ですよね。これからは親の介護とかも入ってきますから女性がバリバリ仕事をするのは難しいです。


野田:仕事とプライベートと切り替えるための工夫など何かありますか。

福岡:主人ですね。仕事もプライベートもぐちゃぐちゃの生活から、再婚して主人の生活スタイルに合わせたんです。それまでは時間の全てを仕事に使っていたのが、主人の為に使う時間を作ることによってオンとオフが切り替えられるようになったんです。以前は食事の時間がもったいなくて、ゼリーの栄養補助食品だけを1時間毎に食べているような生活でしたから。(笑)

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年齢とともに仕事の仕方をどう変化させるかがこれからの課題

野田 : 次の目標や今後の展望を教えていただけますか。

福岡 : もう一度人の育成をしていきたいですね。最初に人材育成に失敗してしまいましたし、仲間も40代となり若い新しい風を入れたいかなとも思って。事業が安定してきたからこそ、自分の後進を育てていくのが今の目標ですね。

あとは、事業的にも大きく広げようとか、年を取ってからも出来ることにスイッチしていこうと思ったのですが、そこを今から経験を積んでいこうとすると、本業の方がおろそかになってしまうのではないかと思い、今は本業を頑張りつつ後進を育てていくことに力を入れて、50代になってからの事はゆっくりと考えたいです。


野田:もしかしらた、新規事業とかもありえるかもしれないですね。

福岡:男性の社長さんと話していると感じるんですが、60までのカウントダウンを皆さん考えているんですよ。50歳になった時、後の10年をどうやって生きていこうというのをお聞きするんですね。女性ってそういうことに関して綿密に計画を立てたりしないじゃないですか。ですから、先輩方の話を聞いてそういうことを考える世代に入ったのかなと思い、ラスト10年をどう頑張っていくのか、何をしていくのかを模索していますね。


野田:でも、社長さんは60歳定年ではないですよね。70代になっても続けていられる方も沢山いらっしゃいますし。

福岡:先輩の話に影響されて、早くリタイヤしてタイで悠々自適な生活をするというのもいいななんて。自分の子供がいれば引退後もいろいろと楽しみも広がるんでしょうけど、会社が子供みたいになっていますから、60歳でやめてしまったらどうなってしまうのかと思ってしまって。ただ、ライターの仕事も体力勝負なので、ある程度の年齢で徐々に引退を考えなくてはならないですから、引退後に何をやりたいのかを見つけていかないといけないかな。

今は「年齢とともに仕事の仕方をどう変えていくのか」ですね。

一時期他の業界に目を向けたときに親から言われたのが「広げた屏風は倒れやすくなる」キュッと凝縮してどっしりと根を据えることがあなたには向いていると。その言葉も心のどこかに残しつつ、しかし何かを変えていく。50歳になる前までに決めたいですね。


思い立ったら行動、そしてちゃんと継続する
kigyo_fukuoka_04_up.jpg 左:野田葉子  右:福岡由美様

野田:最後に、起業を考えている方もしくは起業して間もない方にエールをいただけますか。

福岡:起業を考えている方には、そうですね…思い立ったらやったらいいと思います。チャレンジする。それで道が開けてくるんですね。悩んでとどまっているなら進んでみるべきです。

実際に代表取締役という肩書を持つことで、信頼関係を得ることができる。ただのお姉ちゃんじゃないんだと認めてもらえる。私自身が実感したことですね。これが男性と対等に仕事をすることの一つの切り札にもなりますから。

ちゃんと会社にすること、それを継続すること。これが大切だと思います。


野田:本日は貴重なお話、ありがとうございました!

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