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起業ストーリー

今回の起業ストーリーは、大学等学術機関のデータ分析からシステム開発、ホームページ制作、顧客管理など、さまざまなITサービスを行う 「株式会社マイビジネスサービス」(愛知県名古屋市中区栄2-13-1 名古屋パークプレイス3F http://www.mbs2000.com/) の代表取締役社長村田千世子様のお話です。
在宅ワーカーから一転「社長」になったいきさつ、変化の激しいIT業界でどのように生き残ってきたのか、そして今後の夢についておうかがいしてきました
(インタビュアー:伊藤貴久美 コミュニケーションマナー講師・なでしコンサル東海理事、豊増さくら 中小企業診断士・なでしコンサル東海理事)

「子どもといたい」から選択した在宅ワーカーから一転取引先の社長に

早速ですが、マイビジネスサービス様は今期で33期目。当時はまだ女性の経営者も少なかったかと思いますが、会社経営を始められたきっかけをお聞かせいただけますか?

村田:まず私生活のことから入りますが、私は子供が五歳の時に離婚。「働きながらでも子供との時間を保ちたい」と、「在宅ワーカー」という働き方を選択しました。当時はまだパソコンなど普及しておらず、手書きの企画書などの入力代行や議事録のテープ起こしなどの仕事を在宅で請け負っていました。

事業を興すことはできても、その後顧客開拓で苦労する方も多いのですが、どのように新規開拓をされたのですか?

村田:ベーシックな営業活動ですね。当時はバブルのころで、比較的仕事が潤沢にありましたが、それでも待っていても仕事はもらえないので子供を連れて営業に行ったこともありますよ。

ところでいきなり会社を立ち上げられたのですか?

村田:いえ、あくまでも個人として、いろいろな会社の業務を請け負っていました。このマイビジネスサービスも、当初は仕事をくださる「お客様」だったんですよ。

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外注先の立場から、経営する側に?どのようないきさつがあったのですか?

村田:実は、何か劇的なことが!…、という訳ではないんです()。当社の創業者が別途まったく違う事業を行っており、二足のわらじがきつくなったから・・・というのが理由で、「社長をやってほしい」と誘われました。私の方の事情でいうと、顧客がすでに存在していることと、社会保障が魅力的だった(※)、というのがあり引き受けました。

※なでしコンサル脚注:法人の取締役、代表取締役など役員等は「法人に使用されるもの」として、原則として社会保険が適用されます。個人事業主は、別人格に使用される関係にないため、社会保険は適用されません。外注先の立場から、経営する側に?どのようないきさつがあったのですか?

「社長として」再スタート!経営者同士のつながりから社長としての知識を習得

使用される側から使用する側と、まったく違う立場に立たれた訳ですが、苦労されたことはありませんか?

村田:あまり苦労とは思っていないのですが、知識面や経験面での不足はもちろんありました。社長ともなると財務や雇用といった、今までとは違う業務に責任が発生しますが、当時の私は決算書の見方も知りませんでした。

経営者としてのスキルはどのようにして獲得していかれたのでしょうか?

村田:今も勉強中なのですが、いろいろな経営者の集まりには積極的に参加しました。そのなかでさまざまな勉強会があり、経営の勉強をするなら、愛知中小企業家同友会でまず経営指針を学ぶといい。と知り合いの経営者から進められました。たとえば「経営指針がなぜ重要なのか」や「経営指針の作り方」といった「経営者ならではの仕事」も学んでいきました。作るテクニックだけではなく、「経営者の思い(経営指針)は浸透するまで10年かかる」といった、経験に基づくアドバイスなども得られ、ほんとうに経営の勉強になっています。

体系化された知識の勉強と、周囲の経験談などからも積極的に経営者として必要な知識を習得し、また実践していかれたのですね。

murata_02.jpg マイビジネスサービス様経営指針書と経営指針書作成のために活用された教科書
社内スタッフと外部の経営者を招いた経営方針発表会を開催されています
変化の速いIT業界で

つぎに経営環境変化への対応に関しておうかがいします。マイビジネスサービス様はITサービスを提供しておられますが、IT業界は特に変化が速い業界であると思います。どのように変化する周囲の環境に自社を適応させていかれたのでしょうか?

村田:ハード面、ソフト面での話をします。

まず、ハード面ですが、私が社長になったときは主な業務が「清書」「入力代行」であり、主要機器として、オアシス(ワープロ)を使用していました。その後パソコンの技術が格段に向上し、Mac,Windowsを導入しました。機器に関しては投資が必要であると考えています。

ソフト面から見た環境変化への適応方法は?

村田:お客様のニーズ変化に敏感になり、そのニーズに対応できるような人材採用や教育を行っています。

今、当社が力を入れているサービスに「研究室サポートサービス」があります。これは大学などの研究機関が行うさまざまなアンケートの集計から分析、報告書までを一括してサポートするものです。サービス開発の発端は大学からの「集計や分析をアウトソースしたい」との要望からです。

十数年に亘る大学との研究調査の案件に関わり、統計・解析を習得し、さらに技術を深めるために大学の先生に講義を受けにいきました。SPSSという分析ソフトを中心に業務を行い、大学院で統計学を学んだ人材の採用も行いました。

他社でこのようなサービスを行っている会社は少ないので「紹介」や「ホームページを見て」など、仕事が向こうから来るようになり、おかげさまで当社紹介受注No1の実績があります。

murata_03.jpg マイビジネスサービス様HPより
http://www.mbs2000.com/lab_support/support-service.html

お客様のニーズからニッチ分野に進出し、他社との差別化に成功されたのですね!

ところで、新しいことを始める際、「うまくいかなかったら」など、恐怖心はありませんか?

村田:それはないですねー。性格ですかね()

ピンチ!仕事がなくなった!人のトラブル!
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長い業績のなか、どのような「ピンチ」がありましたか?また、その乗り越え方は?

村田:「仕事がなくなった」ことがあります。創業当初の業務である清書や入力代行は、パソコンの普及とともに顧客が自分で入力が行えるようになりました。

どのように乗り越えられましたか?

村田:新規開拓です。「大量のデータ入力を必要としている分野はないか?」との仮説からたどり着いたのが気象データの入力です。明治時代など古い時代の気象情報などがデータ化されず存在しており、実に100年分ほどの仕事を受託することができ、当面のピンチは免れました。

100年分!

村田:「人のトラブル」もあります。大量のデータ入力のため、全国の在宅主婦を組織化し、各家庭で入力を分担することを目指したことがあります。募集をしたところ、全国から300人もの方が集まり、マンパワーの確保は十分行えました。

しかし、人材管理の面でつまづきました。仕事に関する責任感のレベルが個人ごとに異なっていて、責任感の低い人たちの中で「納期の前日に親族が亡くなる」人が続出したのです。

夜中に名古屋から北陸まで車を飛ばし、渡していた紙の原稿を回収し、私自身も必死になって入力したこともありましたよ。

従業員のワークライフバランス 実現のために。

マイビジネスサービス様は女性の従業員様のみで構成されていると聞きましたがワークライフバランス実現のため、どのような取り組みをされていますか?

村田:私自身、土日は全く仕事をしないなど、オンとオフの切り分けを大事にしています。従業員にも私生活を大事にし、そのうえで仕事に臨んでほしいと考えています。そのため、残業しすぎない風土づくりに取り組んでいます。

murata_5.jpg 随所に女性らしい小物が置か
れる温かみのあるオフィス

具体的には?

村田:まず、終業時間をそれまでの17時半からあえて18時に変更しました。定時に帰る人と残業する人のバランスを考えてその時間までに仕事を終わらせるよう意識が働くようになりました。朝は920分始まりと少し遅いのですが、通勤ラッシュのピークから外れるため、とても好評です。

女性は朝忙しいのでその20分は助かりますよね!

村田:従業員を巻き込むことも意識しています。残業しすぎないようにと「言い続ける」ことで、マネージャークラスが自分で考えて残業時間を減らせるような工夫を始めました。そしてその工夫を今度は社内で発表するなどしてくれています。

最後に。女性起業家へのエールとこれからの夢
murata_6.jpg (左:村田様 右:伊藤)

これから起業される方、今仕事に奮闘されている方に一言いただけますか。

村田:女性だから、ということで自分自身や周りの人に甘えず、一人の人間として真剣に仕事に取り組んでください。思いを強く持ち、あきらめることなく行動してください。

最後にこれからの夢は?

村田:事業上では中国とのビジネスなどいろいろチャレンジしていることがありますが、最終的には人を育て、事業を譲りたいと考えています。

引退してからの私生活は?

村田:10年前に再婚したので、「専業主婦」にあこがれてるんです。今でも土日は畑仕事などをしていて、家庭のことをしっかりやってみたいと考えてます。

本日は貴重なお話、ありがとうございました。

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